誠実性と欠格要件

建設業許可を新規に取得する際、一番大変なのが「経営業務の管理責任者」の要件を満たすことだと思います。
次点で「専任技術者」の要件を満たすことが難しいと思います。
それぞれリンク先をご覧頂ければ、証明も含めて、どれだけの資料や経験が必要か分かって頂けると思います。
さらに、請負契約の履行に関して「財産的基礎等」も問われます。
上記条件をクリアしていれば建設業許可取得もほとんどの場合、問題ないです。
但し、上記要件を満たしていても取得できないケースが、今回のテーマである誠実性と欠格要件です。

誠実性

請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でない場合に基準に適合しているものとして取り扱われます。
逆に言えば、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者であれば、基準に適合しない、つまり要件を満たさないとして取り扱われます。

不正な行為とは、請負契約の締結又は履行の際における詐欺、脅迫、横領等法律に違反する行為をいいます。

不誠実な行為とは、工事内容、工期、転載等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為をいいます。

法人であれば、当該法人又はその役員等、若しくは一定の使用人がこれらの行為をするおそれが明らかな者であると要件を満たせません。
個人であれば、その者又は一定の使用人がこれらの行為をするおそれが明らかな者であると要件を満たせません。

ここでいう、「役員等」には、業務を執行する社員・取締役・執行役・相談役・顧問・5%以上の出資をしている株主等が含まれます。
普通の従業員であれば含まれません。

では、どのような人が、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者なのかという疑問が出てくると思います。
建築士法、宅地建物取引業等の規定により不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者」は、上記のおそれが明らかな者として扱われます。

欠格要件

欠格要件には、大きく分けて2種類あります。

提出書類の欠格事由
許可を受けようとする者の欠格事由

 

提出書類の欠格事由

(1)許可申請書及びその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載をした。
(2)許可申請書及びその添付書類中に重要な事実の記載が欠けていた。

上記のいずれかに該当してしまうと、その他の要件を満たしていても許可を取得することはできません。
許可申請書を作成していく段階で、わざと虚偽の記載をすることは原則ないでしょう。
しかしながら、書くべきであった内容を忘れていた為に、虚偽記載をした、重要事実の記載が欠けていると言われる場合がありますので、注意が必要です。

 

②許可を受けようとする者の欠格事由

法人であれば、その法人、役員等、営業所長や支店長が下記(1)~(13)のいずれかに該当すると許可を取得することができません。
個人であれば、その本人や支配人が下記(1)~(13)のいずれかに該当すると許可を取得することができません。
ここでいう、「役員等」には、業務を執行する社員・取締役・執行役・相談役・顧問・5%以上の出資をしている株主等が含まれます。
普通の従業員であれば含まれません。

(1)成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
(2)法第29条第1項5号又は第6号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
(3)法第29条第1項第5号又は第6号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消処分に係わる行政手続法第15条の規定による通知があった日から当該処分があった日又は処分しないことの決定があった日までの間に法第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から5年を経過しない者
(4)(3)に規定する期間内に法第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があった場合において、(3)の通知の日前60日以内に当該届出に係わる法人の役員若しくは一定の使用人であった者又は当該届出に係わる個人の一定の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者
(5)法第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
(6)許可を受けようとする建設業について、法第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
(7)禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(8)法、又は一定の法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(9)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
(10)営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号のいずれかに該当する者
(11)法人でその役員等又は一定の使用人のうちに、(1)~(4)まで又は(6)~(9)までのいずれかに該当する者(2に該当する者についてはその者が法第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から3又は4に該当する者についてはその者が法第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、6に該当する者についてはその者が法第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員又は一定の使用人であった者を除く。)のあるもの
(12)個人で一定の使用人のうちに、(1)~(4)まで又は(6)~(9)までのいずれかに該当する者(2に該当する者についてはその者が法第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から3又は4に該当する者についてはその者が法第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、6に該当する者についてはその者が法第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員又は一定の使用人であった者を除く。)のあるもの
(13)暴力団員等がその事業活動を支配する者

分かりづらいと思いますので、下記に要約したものを載せておきます。

(ア)成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
(イ)不正の手段で許可を受けたことが判明し、許可を取消しされた又は営業停止処分に違反して許可取消しされた者
(ウ)許可取消し処分を免れるために廃業届を提出し、その届出から5年経過していない者
(エ)許可取消し処分を免れるために廃業届を提出した事業者で、許可取消しの聴聞通知の前60日以内に当該法人の役員や政令で定める使用人であった者、個人の使用人であった者で、その廃業届の日から5年経過していない者
(オ)営業停止を命じられ又は営業禁止され、その停止又は禁止の期間が経過していない者
(カ)禁錮以上の刑(禁固・懲役・死刑)に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過していない者
(キ)建設業法・建築基準法・宅地造成等規制法・都市計画法・景観法・労働基準法・職業安定法・労働者派遣法・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律・刑法の一定の法律等に違反して罰金刑となり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過していない者
(ク)暴力団員や暴力団員でなくなった日から5年経過していない者
(ケ)未成年が役員等の場合は、その法定代理人が上記に当てはまる者
(コ)暴力団員がその事業活動を支配する者

上記(ア)~(コ)のいずれかに該当してしまうと、その他の要件を満たしていても許可を取得することはできません。
また、例えば傷害事件で執行猶予中である場合は一見すると上記に該当しないように感じるかもしれませんが、(キ)の刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過しない者に該当します。
執行猶予後5年経過するまでは、欠格要件に該当しますので注意が必要です。

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