建設業の業種②建築工事業(建築一式工事)

建設業許可における建設業の業種は、平成28年6月1日に解体工事業が増え(とび土工工事業から分離独立)、合計で29の業種があります。

この中から、今後の営業活動に必要な業種を選び、許可を取得していくことになりますが、ご自身の普段されている工事がどの業種になるのか、どういう資格が必要なのか調べるのも大変です。

今回は、29の業種のうち建築工事業について記載していきます。

1.建築工事業とは

建築工事業は、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。)」と告示されています。
建設業許可の取得にあたって、例えば専任技術者を実務経験年数で証明する場合には工事の実績が必要になりますが、原則として、元請の立場でなければ建築工事業の工事実績として認定されないことがあります。
建築工事業は、29業種の中で唯一、工事の請負金額が1,500万円(税込)未満であれば、建設業許可が不要な業種です。
また、請負代金が1,500万円(税込)以上となる場合でも、延面積150㎡未満の木造住宅(主要部が木造で、延面積の1/2以上を居住の用に供するもの)の建築工事であれば、建設業許可は不要です。

時折、「建築一式の許可があれば、建築系の仕事は金額に係わらず全部請け負える。」と思われる方がいるようですが、それは違います。
土木工事業と建築工事業の2つは総合工事業であり、その他の27の工事業は専門工事業とされ、区別されています。
例えば、大工工事のみで500万円(税込)以上の仕事を請け負いたい場合には、建築工事業の建設業許可ではなく、大工工事業の建設業許可の取得が必要になります。

2.具体例

建築工事業の工事の具体例は以下です。

・建築確認を必要とする建築工事(新築工事、増築工事、改築工事等)

3.建築工事業の専任技術者になるための資格

下記の資格をお持ちの方は、実務経験に関係なく建築工事業の一般建設業許可取得に必要な専任技術者になることが可能です。

下記の資格をお持ちでない場合は、実務経験で証明を行うことが一般的です。

なお、青字で記載された資格については、特定建設業許可の専任技術者になることもできる資格になります。

(1) 1級建築施工管理技士 青
(2) 2級建築施工管理技士(建築)
(3) 1級建築士 青
(4) 2級建築士

※2級建築施工管理技士については、建築・躯体・仕上げという3種類に分かれています。合格証明書には、建築の場合は何も記載されませんが、躯体や仕上げの場合は、(躯体)や(仕上げ)と記載されます。

4.建築工事業の専任技術者になるための実務経験

3.の資格で専任技術者の要件を満たすことができない場合は、一般的に建築工事業に係わる建設工事の実務経験で専任技術者の要件を満たしていることを証明する必要があります。
下記のいずれかの要件を満たしていれば、建築工事の一般建設業許可を取得するための専任技術者になることができます。

なお、指定学科については、下記5.指定学科をご参照ください。

(1) 大学(短期大学含む)又は高等専門学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者
(2) 専修学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者で、専門士又は高度専門士を称するもの
(3) 高等学校、専修学校又は中等教育学校の指定学科を卒業した後5年以上の実務経験を有する者
(4) 10年以上の実務経験を有する者
(5) 旧実業学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後5年以上又は専門学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後3年以上の実務経験を有する者
(6) 国土交通大臣が3.(1)~(9)及び4.(1)~(5)に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者

5.指定学科

実務経験で証明していく場合に、指定学科を卒業していることで必要な実務経験年数が短縮されます。
建築工事業で指定学科とされるのは以下に関する学科になります。

(1) 建築学
(2) 都市工学

6.建築工事業の特定建設業許可における専任技術者になるための要件

3.の青字で記載された資格をお持ちの方は、特定建設業許可を取得する場合でも専任技術者になることができます。

また、国土交通大臣が左記と同等以上の能力を有する者と認めた者も可能です。

建築工事業は指定建設業になりますので、指導監督的実務経験を有していても、専任技術者になることはできません。

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