建設業の業種㉙解体工事業

建設業許可における建設業の業種は、平成28年6月1日に解体工事業が増え(とび土工工事業から分離独立)、合計で29の業種があります。

この中から、今後の営業活動に必要な業種を選び、許可を取得していくことになりますが、ご自身の普段されている工事がどの業種になるのか、どういう資格が必要なのか調べるのも大変です。

今回は、29の業種のうち解体工事業について記載していきます。

1.解体工事業とは

解体工事業とは、「工作物の解体を行う工事」と告示されています。
土木一式や建築一式と違って、専門工事になるため、元請の立場でないと工事実績として認定されないということはありません。
請負代金が500万円(税込)未満の工事しか請け負わなければ、建設業許可は必要ありません。
しかし、数年に一度でも、500万円(税込)以上の工事を請け負うという場合には、建設業許可が必要になります。

「解体工事業の許可を取っても、他の工事が含まれていたらその工事の許可も必要なのか?」とご質問頂くことがあります。
複数工事が含まれていても、請負代金の内訳において、解体工事が一番大きい割合を占めていれば解体工事業の許可のみで問題ありません。
しかし、解体工事より大きな割合を占める別工事が含まれている場合は、解体工事業の許可ではなく、一番大きい割合を占めている工事の許可が必要になります。

また、平成28年6月1日にとび土工工事業から分離独立した為、経過措置として、平成28年6月1日以前からとび土工工事業の許可を持っている場合、平成31年5月31日までは解体工事業の許可がなくても解体工事を行うことが可能です。

2.具体例

解体工事業の工事の具体例は以下です。

・工作物解体工事
但し、それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当します。
総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ土木一式工事や建築一式工事に該当します。

3.解体工事業の専任技術者になるための資格

下記の資格をお持ちの方は、実務経験に関係なく解体工事業の一般建設業許可取得に必要な専任技術者になることが可能です。

下記の資格をお持ちでない場合は、実務経験で証明を行うことが一般的です。

なお、青字で記載された資格については、特定建設業許可の専任技術者になることもできる資格になります。

(1) 1級土木施工管理技士(※)
(2) 2級土木施工管理技士(土木)(※)
(3) 1級建築施工管理技士(※)
(4) 2級建築施工管理技士(建築・躯体)(※)
(5) 技術士試験:建設・総合技術監理(建設)(※)
(6)  技能検定:1級とび・とび工
(7)  登録解体工事試験

(※)平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する1年以上の実務経験又は登録解体工事講習を受講することで、平成33年4月以降も解体工事業の技術者となれます。しかし、上記いずれかの要件を満たさない場合は、平成33年3月末までの間に限り、解体工事の技術者とみなされます(2級建築施工管理技士(建築)を除く)。なお、平成28年度以降の合格者は、実務経験や講習の受講は要しません。

※2級土木施工管理技士については、土木・鋼構造物塗装・薬液注入という3種類に分かれています。合格証明書には、土木の場合は何も記載されませんが、鋼構造物塗装や薬液注入の場合は、(鋼構造物塗装)や(薬液注入)と記載されます。
※2級建築施工管理技士については、建築・躯体・仕上げという3種類に分かれています。合格証明書には、建築の場合は何も記載されませんが、躯体や仕上げの場合は、(躯体)や(仕上げ)と記載されます。

なお、下記に記載する資格に関しては、資格取得だけでは足りず、合格後3年以上の実務経験を必要とします。(但し、平成16年4月1日時点で合格していた者は、1年以上の実務経験で足りる。)

(8) 技能検定:2級とび・とび工

また、平成33年3月31日までの経過措置として、一般建設業の専任技術者として認められる資格として以下の場合も認められる。

(9) 技能検定:1級型枠施工・コンクリート圧送施工又はウェルポイント施工に平成16年4月1日時点で合格していた者
(10)  技能検定:2級型枠施工又はコンクリート圧送施工に平成16年4月1日時点で合格していた者で、かつ、その後平成27年改正省令の施工の前にコンクリート工事に関し1年以上の実務の経験を有する者
(11)  技能検定:2級ウェルポイント施工に平成16年4月1日時点で合格していた者で、かつ、その後平成27年改正省令の施工の前に土工工事に関し1年以上の実務の経験を有する者
(12)  平成17年度までの地すべり防止工事士資格認定試験に合格し、かつ、地すべり防止工事しとして登録した後平成27年改正省令の施工の前に土工工事に関し1年以上の実務の経験を有する者

あわせて、平成33年3月31日までの経過措置として、特定建設業の専任技術者として認められる資格として以下の場合も認められる。

(13)  平成27年度までに実施された技術検定のうち、検定種目を1級の建設機械施工とするものに合格した者
(14)  平成27年度までに実施された技術士試験:農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)、森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)又は水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)のいずれかに合格した者

4.解体工事業の専任技術者になるための実務経験

3.の資格で専任技術者の要件を満たすことができない場合は、一般的に解体工事業に係わる建設工事の実務経験で専任技術者の要件を満たしていることを証明する必要があります。
下記のいずれかの要件を満たしていれば、解体工事の一般建設業許可を取得するための専任技術者になることができます。

なお、指定学科については、下記5.指定学科をご参照ください。

(1) 大学(短期大学含む)又は高等専門学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者
(2) 専修学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者で、専門士又は高度専門士を称するもの
(3) 高等学校、専修学校又は中等教育学校の指定学科を卒業した後5年以上の実務経験を有する者
(4) 10年以上の実務経験を有する者
(5) 旧実業学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後5年以上又は専門学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後3年以上の実務経験を有する者
(6) 土木工事業及び解体工事業に係わる建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、解体工事業に係わる建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
(7) 建築工事業及び解体工事業に係わる建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、解体工事業に係わる建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
(8) とび・土工工事業及び解体工事業に係わる建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、解体工事業に係わる建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
(9) 国土交通大臣が3.(1)~(14)及び4.(1)~(8)に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者

5.指定学科

実務経験で証明していく場合に、指定学科を卒業していることで必要な実務経験年数が短縮されます。
解体工事業で指定学科とされるのは以下に関する学科になります。

(1) 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)
(2) 建築学

6.解体工事業の特定建設業許可における専任技術者になるための要件

3.の青字で記載された資格をお持ちの方は、特定建設業許可を取得する場合でも専任技術者になることができます。

また、国土交通大臣が左記と同等以上の能力を有する者と認めた者も可能です。
解体工事業は指定建設業ではないので、一般建設業の専任技術者の資格要件に該当する者のうち、解体工事業に係わる建設工事に関し、2年以上一定の指導監督的実務経験を有する者も特定建設業許可における専任技術者になることができます。

この指導監督的実務経験というのは、
(1) 元請として、
(2) 請負代金が4,500万円(税込)(昭和59年10月1日前の経験にあっては、1,500万円、昭和59年10月1日以降平成6年12月28日前の経験にあっては3,000万円)以上の解体工事業に係わる工事について
(3) 2年以上、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験
を指しています。

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