経営事項審査は、公共工事を元請として請け負う場合に、建設業者が必ず受けなければならない審査です。
逆に言えば、下請としてのみ公共工事に参加する場合や、民間工事しか行わない場合など公共工事を元請として請け負うことを希望されない建設業者は受審の必要がありません。
経営事項審査とは、公共工事を元請として受注したいと考える建設業者を会社の規模や実績等から点数化することです。
低い点数だと無意味というわけでなく、各工事における規模の大小に応じて、何点以上の建設業者であれば入札に参加できると線引きをするためのものになります。

経営事項審査を受審する為には建設業許可を取得していることが必須条件です。
建設業許可を取得さえしていれば、設立したばかりで決算日未到来であっても、受審すること自体は可能です。
但し、工事の実績がないので、点数は低くなります。

 

公共工事を元請けとして受注するための、一般的なステップは下記です。

①建設業許可を取得します。

②決算変更届を提出します。

③経営状況分析申請を行います。

④経営規模等評価申請を行います。

⑤経営事項審査の総合評定値を受け取ります。

⑥公共工事の入札に参加したい国・地方公共団体等の入札参加資格申請を行います。

⑦入札参加資格を取得後、公共工事の入札に参加します。

 

 

上記②までは、公共工事を元請として請け負わない建設業者であっても必要になります。

経営事項審査を受審してはいけないという決まりもないので、自社の客観的な評価を知りたい場合は、受審する意味が出てきます。

 

時折「経審さえ受審したら入札に参加できるんですか?」と相談がありますが、入札に参加したい国・地方公共団体等の入札参加資格申請を行って入札参加資格を取得する必要もあります。
例えば、兵庫県と神戸市の双方の入札に参加したい場合であれば、⑥入札参加資格申請を兵庫県と神戸市のそれぞれで行い、それぞれ入札参加資格を取得する必要があります。
また、近年は電子申請・電子入札のみの取扱いとするところが増えてきています。
電子入札の場合は、電子入札等でも使用が可能なICカードが必要になりますので、入札参加資格取得はできたものの入札に参加できないとならないよう、きちんとした下調べが必要です。

 

さて、上記のステップを見て「おや?」と思われた方もいるはずです。
理由は「経営事項審査の受審」という項目がないからだと思います。
経営事項審査は、二つのステップで構成されています。
③経営状況分析申請と④経営規模等評価申請です。
まず、第一段階として、決算変更届で提出した財務諸表等を用いて直近の決算日時点での経営状況評点を算出するのが、③経営状況分析申請といいます。
経営状況分析申請は、国交省から認可された民間の経営状況分析機関に提出して行います。
申請後、経営状況分析結果通知書が届きます。
続いて、④経営規模等評価申請を行います。
こちらは、直近の決算日時点での建設業者の経営規模や技術者の数や資格、社会性を評価するものになります。
③とは違って、建設業許可を取得した行政庁に申請しますが、申請書類に併せて経営状況分析結果通知書も提出します。
基本的に④経営規模等評価申請を指して「経審」ということが多いとは思いますが、③の経営状況分析申請書を用いて④を行い、その結果として⑤経営事項審査の総合評定値通知書が届きます。

 

ちなみに経審は、取得している建設業許可の業種全てを受審する必要があるわけではありません。
公共工事を元請として受注したいと考える業種だけ行えばよいわけです。
例えば、建築一式と屋根工事業を取得しているが入札参加したいのは建築一式のみであれば、経審も建築一式のみ受審すればよいことになります。