建設業許可を初めて取得するまで~個人編~

例えば、建設業界で長年下積みされた方が独立をする場合や、親から地盤を引き継いで建設業を始めようとする場合、たくさん考えねばならないことがあると思います。

建設業許可の取得もその一つであり、いつかは考えることになると思います。

もちろん、建設業許可を取得せず、営業を続けるという方法もありますが、取得できる状態にしておけば、仮に取引先から取得するよう言われた場合でも迅速に対応できます。

そういう意味で、すぐに建設業許可を取得しなくとも、取得できる状態を作っておくことは大切ですし、請負金額が500万円以上の工事を請け負いたい場合や、公共工事の入札に参加できるようにしたい場合、建設業許可は必須です。

今回からは、建設業許可を取得するために、どのような準備をしておく必要があるかを、一から記載していきたいと思います。


(1)他社で取締役等を一切経験していない人の場合

一 開業届等の提出

個人事業を開業する場合、きちんと開業届等を提出しておく必要があります。

二 5年間事業を営む

最低でも1年に1件は工事を請け負いましょう。
建設業許可の申請業種は29種類の建設工事があります。将来申請する業種の工事を請け負うようにすることが最短で建設業を取得する道となります。
また、請け負った工事の契約書や注文書、注文請書を作成し、きちんと保管しておく必要があります。
工事名、工事内容、請負金額、振出日、工期の記載があるものをきちんと作成しておくことが重要です。
また、この工事名等は、きちんと将来申請する業種の工事であると分かるようにしておくことも重要です。
注意が必要なのは、建設業許可を取得していない間は、請負金額500万円以下の工事しかできません。
また、確定申告を行い、確定申告書の控えに税務署の受付印を必ずもらうことが必要です。(電子申告した場合、税務署から送信される受信通知はメール詳細を含め全て消さず保管しておくことが必要です。)

三 5年経過後

事業の開始より、5年が経過していれば、建設業許可取得のための大きな要件の一つ、経営管理の責任者を満たすことができるようになります。
専任技術者としての要件を満たせる資格を取得していれば、建設業許可取得に大きく近づきます。
あとは財産的要件・営業所の要件をきちんと満たし、欠格要件には該当しないようにしていれば、この時点で建設業許可取得が可能です。
なお、専任技術者としての要件を満たせる資格を取得していない場合は、実務経験が10年必要となります。
10年を短縮するには、資格を取得するか、資格保持者又は10年以上の実務経験を要する従業員を雇用するしかありません。

四 要件を充足後

建設業許可を申請するとよいでしょう。
この申請のタイミングで法人化する方もいらっしゃいますが、個人事業でも法人でも、どちらでも問題なく入札参加まで可能ですので、ご自身の希望に合わせて選択されると良いと思います。

 

(2)他社の取締役等を5年以上経験している場合

一 開業届等の提出

個人事業を開業する場合、きちんと開業届等を提出しておく必要があります。

二 資格を取得するor10年間建設業を営む

専任技術者の要件を満たす必要があります。
専任技術者としての要件を満たせる資格を取得していれば、建設業許可取得に大きく近づきます。
あとは財産的要件・営業所の要件をきちんと満たし、欠格要件には該当しないようにしていれば、この時点で建設業許可取得が可能です。
なお、専任技術者としての要件を満たせる資格を取得していない場合は、実務経験が10年必要となります。
10年を短縮するには、資格を取得するか、資格保持者又は10年以上の実務経験を要する従業員を雇用するしかありません。

三 要件を充足後

建設業許可を申請するとよいでしょう。
この申請のタイミングで法人化する方もいらっしゃいますが、個人事業でも法人でも、どちらでも問題なく入札参加まで可能ですので、ご自身の希望に合わせて選択されると良いと思います。

 

(3)他社の取締役等を5年以上経験しており、専任技術者になれる資格を取得しているor10年以上の実務経験がある場合

一 開業届等の提出

個人事業を開業する場合、きちんと開業届等を提出しておく必要があります。

二 要件を充足後

財産的要件・営業所の要件をきちんと満たし、欠格要件には該当しないようにしていれば、この時点で建設業許可取得が可能です。
個人で建設業を営むことを前提としていますが、法人化したい場合、ここまで要件が揃っているのであれば、最初から法人を設立するほうが楽だと思います。

次回は、個人ではなく、法人で建設業許可を一から取得する方法について記載したいと思います。

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