建設業の業種㉓造園工事業
建設業許可における建設業の業種は、平成28年6月1日に解体工事業が増え(とび土工工事業から分離独立)、合計で29の業種があります。
この中から、今後の営業活動に必要な業種を選び、許可を取得していくことになりますが、ご自身の普段されている工事がどの業種になるのか、どういう資格が必要なのか調べるのも大変です。
今回は、29の業種のうち造園工事業について記載していきます。
1.造園工事業とは
造園工事業とは、「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事」と告示されています。
土木一式や建築一式と違って、専門工事になるため、元請の立場でないと工事実績として認定されないということはありません。
請負代金が500万円(税込)未満の工事しか請け負わなければ、建設業許可は必要ありません。
しかし、数年に一度でも、500万円(税込)以上の工事を請け負うという場合には、建設業許可が必要になります。
「造園工事業の許可を取っても、他の工事が含まれていたらその工事の許可も必要なのか?」とご質問頂くことがあります。
複数工事が含まれていても、請負代金の内訳において、造園工事が一番大きい割合を占めていれば造園工事業の許可のみで問題ありません。
しかし、造園工事より大きな割合を占める別工事が含まれている場合は、造園工事業の許可ではなく、一番大きい割合を占めている工事の許可が必要になります。
2.具体例
造園工事業の工事の具体例は以下です。
・植栽工事(植生を復元する工事を含む。)
・地被工事(地被植物の植栽や舗装)
・景石工事
・地ごしらえ工事
・公園設備工事(花壇、噴水その他の修景施設、休憩所その他の休養施設、遊戯施設、便益施設等の建設工事が含まれる。)
・広場工事(修景広場、芝生広場、運動広場その他の広場を築造する工事)
・園路工事(公園内の遊歩道、緑道等を建設する工事)
・水景工事
・屋上等緑化工事(建築物の屋上、壁面等を緑化する建設工事)
・緑地育成工事(樹木、芝生、草花等の植物を育成する建設工事であり、土壌改良や支柱の設置等を伴って行う工事)
樹の枝払いなどは建設業に該当しません。また、剪定や冬囲いは工事ではないため、注文書等に草刈工事等の記載があったとしても工事実績として認められませんので注意が必要です。
3.造園工事業の専任技術者になるための資格
下記の資格をお持ちの方は、実務経験に関係なく造園工事業の一般建設業許可取得に必要な専任技術者になることが可能です。
下記の資格をお持ちでない場合は、実務経験で証明を行うことが一般的です。
なお、青字で記載された資格については、特定建設業許可の専任技術者になることもできる資格になります。
(1) 1級造園施工管理技士
(2) 2級造園施工管理技士
(3) 技術士試験:建設・総合技術監理(建設)
(4) 技術士試験:建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
(5) 技術士試験:森林「林業」・総合技術監理(森林「林業」)
(6) 技術士試験:森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)
(7) 技能検定:1級造園
なお、下記に記載する資格に関しては、資格取得だけでは足りず、合格後3年以上の実務経験を必要とします。(但し、平成16年4月1日時点で合格していた者は、1年以上の実務経験で足りる。)
(8) 技能検定:2級造園
4.造園工事業の専任技術者になるための実務経験
3.の資格で専任技術者の要件を満たすことができない場合は、一般的に造園工事業に係わる建設工事の実務経験で専任技術者の要件を満たしていることを証明する必要があります。
下記のいずれかの要件を満たしていれば、造園工事の一般建設業許可を取得するための専任技術者になることができます。
なお、指定学科については、下記5.指定学科をご参照ください。
(1) 大学(短期大学含む)又は高等専門学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者
(2) 専修学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者で、専門士又は高度専門士を称するもの
(3) 高等学校、専修学校又は中等教育学校の指定学科を卒業した後5年以上の実務経験を有する者
(4) 10年以上の実務経験を有する者
(5) 旧実業学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後5年以上又は専門学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後3年以上の実務経験を有する者
(6) 国土交通大臣が3.(1)~(2)及び4.(1)~(5)に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
5.指定学科
実務経験で証明していく場合に、指定学科を卒業していることで必要な実務経験年数が短縮されます。
造園工事業で指定学科とされるのは以下に関する学科になります。
(1) 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)
(2) 建築学
(3) 都市工学
(4) 林学
6.造園工事業の特定建設業許可における専任技術者になるための要件
3.の青字で記載された資格をお持ちの方は、特定建設業許可を取得する場合でも専任技術者になることができます。
また、国土交通大臣が左記と同等以上の能力を有する者と認めた者も可能です。
造園工事業は指定建設業になりますので、指導監督的実務経験を有していても、専任技術者になることはできません。