建設業の業種㉗消防施設工事業

建設業許可における建設業の業種は、平成28年6月1日に解体工事業が増え(とび土工工事業から分離独立)、合計で29の業種があります。

この中から、今後の営業活動に必要な業種を選び、許可を取得していくことになりますが、ご自身の普段されている工事がどの業種になるのか、どういう資格が必要なのか調べるのも大変です。

今回は、29の業種のうち消防施設工事業について記載していきます。

1.消防施設工事業とは

消防施設工事業とは、「火災報知器、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事」と告示されています。
土木一式や建築一式と違って、専門工事になるため、元請の立場でないと工事実績として認定されないということはありません。
請負代金が500万円(税込)未満の工事しか請け負わなければ、建設業許可は必要ありません。
しかし、数年に一度でも、500万円(税込)以上の工事を請け負うという場合には、建設業許可が必要になります。

「消防施設工事業の許可を取っても、他の工事が含まれていたらその工事の許可も必要なのか?」とご質問頂くことがあります。
複数工事が含まれていても、請負代金の内訳において、消防施設工事が一番大きい割合を占めていれば消防施設工事業の許可のみで問題ありません。
しかし、消防施設工事より大きな割合を占める別工事が含まれている場合は、消防施設工事業の許可ではなく、一番大きい割合を占めている工事の許可が必要になります。

2.具体例

消防施設工事業の工事の具体例は以下です。

・屋内消火栓設置工事
・スプリンクラー設置工事
・水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発製液体又は粉末による消火設備工事
・屋外消火栓設置工事
・動力消防ポンプ設置工事
・火災報知設備工事
・漏電火災警報器設置工事
・非常警報設備工事
・金属製避難はしご(火災時等にのみ使用する組立式のはしご。ビルの外壁等に固定された避難階段等は該当しない。)、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事
ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は消防施設工事ではなく、建築物の躯体の一部の工事として、建築一式工事(新築時に設置)又は鋼構造物工事(既存の建物に追加設置)に該当するので注意が必要です。

3.消防施設工事業の専任技術者になるための資格

下記の資格をお持ちの方は、実務経験に関係なく消防施設工事業の一般建設業許可取得に必要な専任技術者になることが可能です。

下記の資格をお持ちでない場合は、実務経験で証明を行うことが一般的です。

(1)甲種消防設備士
(2)乙種消防設備士

なお、消防施設工事業は、資格だけで特定建設業許可の専任技術者になることはできません。

4.消防施設工事業の専任技術者になるための実務経験

3.の資格で専任技術者の要件を満たすことができない場合は、一般的に消防施設工事業に係わる建設工事の実務経験で専任技術者の要件を満たしていることを証明する必要があります。
下記のいずれかの要件を満たしていれば、消防施設工事の一般建設業許可を取得するための専任技術者になることができます。

なお、指定学科については、下記5.指定学科をご参照ください。

(1) 大学(短期大学含む)又は高等専門学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者
(2) 専修学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者で、専門士又は高度専門士を称するもの
(3) 高等学校、専修学校又は中等教育学校の指定学科を卒業した後5年以上の実務経験を有する者
(4) 10年以上の実務経験を有する者
(5) 旧実業学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後5年以上又は専門学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後3年以上の実務経験を有する者
(6) 国土交通大臣が3.(1)~(2)及び4.(1)~(5)に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者

建設業法では、実務経験年数を専任技術者の要件として認めているのですが、消防施設工事は消防法という法律で、消防設備士でなければ消防設備工事をやってはいけないと決められています。
その為、都道府県によって、実務経験を認めていないことがあります。
反対に認めている都道府県では、上記(1)~(6)の内容が認められるので、資格者の代わりになります。

5.指定学科

実務経験で証明していく場合に、指定学科を卒業していることで必要な実務経験年数が短縮されます。
消防施設工事業で指定学科とされるのは以下に関する学科になります。

(1) 建築学
(2) 機械工学
(3) 電気工学

6.消防施設工事業の特定建設業許可における専任技術者になるための要件

消防施設工事業は指定建設業ではないので、一般建設業の専任技術者の資格要件に該当する者のうち、消防施設工事業に係わる建設工事に関し、2年以上一定の指導監督的実務経験を有する者が特定建設業許可における専任技術者になることができます。

この指導監督的実務経験というのは、
(1) 元請として、
(2) 請負代金が4,500万円(税込)(昭和59年10月1日前の経験にあっては、1,500万円、昭和59年10月1日以降平成6年12月28日前の経験にあっては3,000万円)以上の消防施設工事業に係わる工事について
(3) 2年以上、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験
を指しています。

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