建設業の業種⑨管工事業

建設業許可における建設業の業種は、平成28年6月1日に解体工事業が増え(とび土工工事業から分離独立)、合計で29の業種があります。

この中から、今後の営業活動に必要な業種を選び、許可を取得していくことになりますが、ご自身の普段されている工事がどの業種になるのか、どういう資格が必要なのか調べるのも大変です。

今回は、29の業種のうち管工事業について記載していきます。

1.管工事業とは

管工事業とは、「冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事」と告示されています。
土木一式や建築一式と違って、専門工事になるため、元請の立場でないと工事実績として認定されないということはありません。
請負代金が500万円(税込)未満の工事しか請け負わなければ、建設業許可は必要ありません。
しかし、数年に一度でも、500万円(税込)以上の工事を請け負うという場合には、建設業許可が必要になります。

「管工事業の許可を取っても、他の工事が含まれていたらその工事の許可も必要なのか?」とご質問頂くことがあります。
複数工事が含まれていても、請負代金の内訳において、管工事が一番大きい割合を占めていれば管工事業の許可のみで問題ありません。
しかし、管工事より大きな割合を占める別工事が含まれている場合は、管工事業の許可ではなく、一番大きい割合を占めている工事の許可が必要になります。

2.具体例

管工事業の工事の具体例は以下です。

・冷暖房設備工事
・ダクト工事
・衛生設備工事
・厨房設備工事等
なお、し尿処理に関する施設の建設工事における管工事とは、規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む。)によりし尿を処理する施設の建設工事を指します。
上下水道に関する施設の建設工事における管工事とは、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事を指します。
さらに、冷暖房設備工事や冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事には、冷媒の配管工事などのフロン類の漏洩を防止する工事が含まれます。
また、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は管工事ですが、トンネル、地下道等の吸排気用に設置される機械器具に関する工事は機械器具設置工事になるので注意が必要です。

3.管工事業の専任技術者になるための資格

下記の資格をお持ちの方は、実務経験に関係なく管工事業の一般建設業許可取得に必要な専任技術者になることが可能です。

下記の資格をお持ちでない場合は、実務経験で証明を行うことが一般的です。

なお、青字で記載された資格については、特定建設業許可の専任技術者になることもできる資格になります。

(1) 1級管工事施工管理技士 
(2) 2級管工事施工管理技士
(3) 技術士試験:機械「流体工学」又は「熱工学」・総合技術監理(機械「流体工学」又は「熱工学」) 
(4) 技術士試験:上下水道・総合技術監理(上下水道) 
(5) 技術士試験:上下水道「上下水道及び工業用水道」・総合技術監理(上下水道「上下水道及び工業用水道」) 
(6) 技術士試験:衛生工学・総合技術監理(衛生工学) 
(7) 技術士試験:衛生工学「水質管理」・総合技術監理(衛生工学「水質管理」) 
(8) 技術士試験:衛生工学「廃棄物管理」・総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理」) 
(9) 技能検定:1級冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管
(10) 技能検定:1級給排水衛生設備配管
(11) 技能検定:1級配管(選択科目「建築配管作業」)・配管工
(12) 技能検定:1級建築板金「ダクト板金作業」

なお、下記に記載する資格に関しては、資格取得だけでは足りず、合格後3年以上の実務経験を必要とします。(但し、平成16年4月1日時点で合格していた者は、1年以上の実務経験で足りる。)

(13) 技能検定:2級冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管
(14) 技能検定:2級給排水衛生設備配管
(15) 技能検定:2級配管(選択科目「建築配管作業」)・配管工
(16) 技能検定:2級建築板金「ダクト板金作業」

下記に記載する資格に関しては、資格取得だけでは足りず、合格後【】内の年数以上の実務経験を必要とします。

(17) 給水装置工事主任技術者【1年】

また、下記に記載する資格に関しては、取得後1年以上の実務経験を必要とします。

(18) 建築設備士
(19) 計装

4.管工事業の専任技術者になるための実務経験

3.の資格で専任技術者の要件を満たすことができない場合は、一般的に管工事業に係わる建設工事の実務経験で専任技術者の要件を満たしていることを証明する必要があります。
下記のいずれかの要件を満たしていれば、管工事の一般建設業許可を取得するための専任技術者になることができます。

なお、指定学科については、下記5.指定学科をご参照ください。

(1) 大学(短期大学含む)又は高等専門学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者
(2) 専修学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者で、専門士又は高度専門士を称するもの
(3) 高等学校、専修学校又は中等教育学校の指定学科を卒業した後5年以上の実務経験を有する者
(4) 10年以上の実務経験を有する者
(5) 旧実業学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後5年以上又は専門学校卒業程度検定規定による検定で、指定学科合格後3年以上の実務経験を有する者
(6) 国土交通大臣が3.(1)~(19)及び4.(1)~(5)に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者

5.指定学科

実務経験で証明していく場合に、指定学科を卒業していることで必要な実務経験年数が短縮されます。
管工事業で指定学科とされるのは以下に関する学科になります。

(1) 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)
(2) 建築学
(3) 機械工学
(4) 都市工学
(5) 衛生工学

6.管工事業の特定建設業許可における専任技術者になるための要件

3.の青字で記載された資格をお持ちの方は、特定建設業許可を取得する場合でも専任技術者になることができます。また、国土交通大臣が左記と同等以上の能力を有する者と認めた者も可能です。
管工事業は指定建設業になりますので、指導監督的実務経験を有していても、専任技術者になることはできません。

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