経営事項審査(経審)の点数5~その他の審査項目(社会性等)(W)~
算出方法は、以下です。
(W)=[(W1)+(W2)+(W3)+(W4)+(W5)+(W6)+(W7)+(W8)+(W9)]×10×190÷200
・労働福祉の状況(W1)
審査項目は、減点評価項目と加点評価項目に分かれており、計算値がマイナスの場合、以前は0点として扱われていました。
しかし、平成30年4月改正により、0点ではなく、マイナスの点数がそのまま総合評定値(P)の算出に使用されることになりました。
審査項目のうち、減点評価項目は、社会保険の加入の有無です。
雇用保険・健康保険・厚生年金保険のうち、未加入のもの1つにつき、-40点です。
社会保険に関して、適用除外の場合、減点対象とはなりません。
その場合は、0点として計算を行います。
また。国土交通省は社会保険未加入企業(適用対象外を除く)に、建設業の許可や更新を認めないように建設業法の改正を検討しています。
現時点では大きな減点で済みますが、今後は建設業許可が維持できない事態になりかねませんので、社会保険未加入の場合は、加入準備を進めたほうが無難でしょう。
審査項目のうち、加点評価項目は、建設業退職金共済制度の加入の有無・退職一時金もしくは企業年金制度導入の有無・法定外労働災害補償制度加入の有無です。
加入しているもの1つにつき、+15点です。
法定外労働災害保障制度には加入しているが、労災保険には加入していない場合は、加点対象とならないので、注意が必要です。
上記全てを合算した点数が(W1)の点数となります。
・建設業の営業継続の状況(W2)
審査項目は2つに分かれています。
1つは、建設業の営業年数です。
ここでいう営業年数とは、建設業の許可又は登録を受けたときから起算して、審査基準日までの年数(1年未満は切り捨て)のことを指します。
但し、平成23年4月1日以降に、民事再生法または会社更生法の適用を受けた業者は、再生手続または更正手続の終結の決定を受けたときから起算して、審査基準日までの年数となります。
つまり、建設業許可を受けてから、再生手続または更正手続の開始決定を受けるまでの期間を算入できなくなります。
また、営業休止した期間がある場合は、営業年数から休止期間を控除します。
この年数を、建設業の営業年数の点数表と照らし合わせて、点数を算出します。
営業年数点数表
営業年数 | 評点 |
5年以下 | 0 |
6年 | 2 |
7年 | 4 |
8年 | 6 |
9年 | 8 |
10年 | 10 |
11年 | 12 |
12年 | 14 |
13年 | 16 |
14年 | 18 |
15年 | 20 |
16年 | 22 |
17年 | 24 |
18年 | 26 |
19年 | 28 |
20年 | 30 |
21年 | 32 |
22年 | 34 |
23年 | 36 |
24年 | 38 |
25年 | 40 |
26年 | 42 |
27年 | 44 |
28年 | 46 |
29年 | 48 |
30年 | 50 |
31年 | 52 |
32年 | 54 |
33年 | 56 |
34年 | 58 |
35年以上 | 60 |
もう1つは、民事再生法または会社更生法の適用の有無です。
審査基準日時点で、民事再生法または会社更生法が適用されている(再生手続・更正手続の終結の決定を受けていない)場合は、-60点です。
適用が無ければ、0点として計算を行います。
営業年数点数と民事再生法・会社更生法の適用有無点数を合算した点数が(W2)の点数となります。
・防災活動への貢献の状況(W3)
申請者が官公庁と防災協定を締結している場合に+20点です。(平成30年4月改正前までは+15点でした。)
締結していなければ0点で計算されます。
防災協定は、申請者が単独で締結している場合以外に、申請者が所属する建設業者団体等が防災協定を締結している場合も認められます。
但し、単に所属している建設業者団体等が、官公庁と防災協定を締結しているというだけでは足らず、申請者自身が防災活動に一定の役割を果たすことが証明できなければなりません。
ちなみに、防災協定を複数締結していても、重複して加点されることはありません。
・法令遵守の状況(W4)
建設業法第28条は、指示処分と営業停止処分に関する条文です。
この指示処分または営業停止処分を、審査対象事業年度内に受けている場合は減点となります。
営業停止(全部又は一部)処分の場合、-30点。
指示処分の場合、-15点。
処分を受けていない場合は、0点で計算します。
・建設業の経理の状況(W5)
建設業の経理の状況は、2つの項目に分かれています。
1つは、監査の受審状況です。
会計監査人の設置がある場合、+20点。
会計参与の設置がある場合、+10点。
経理責任者による自主監査(経理処理の適正を確認した旨の書類の提出)がある場合、+2点。
いずれもない場合は、0点で計算されます。
会計監査人及び会計参与は商業登記簿謄本に登記されていることが前提です。
監査証明書の写し、又は会計参与報告書の写しの提出も必要になります。
ただ設置しているだけでは加点対象にはなりませんので注意が必要です。
もう1つは、公認会計士等の数です。
申請者において常勤である役職員のうち、一定の資格を有する者の数に応じて加点されることになります。
公認会計士、会計士補、税理士、前3つになれる資格を有する者(登録は不要)、建設業経理士1級(1級登録経理試験合格者)の資格を有する場合は、付与数値1。
建設業経理士2級(2級登録経理試験合格者)の資格を湯得る場合は、付与数値0.4。
ちなみに、1人が複数資格を有している場合は、一番上位の資格だけが加点の対象となります。
この付与数値を合計したものを、公認会計士等点数算出表と照らし合わせ、公認会計士等の点数を算出します。
公認会計士等点数算出表
【平均完成工事高600億円以上の場合】
付与数値の合計 | 公認会計士等点数算出表 |
13.6以上 | 10 |
10.8以上 13.6未満 | 8 |
7.2以上 10.8未満 | 6 |
5.2以上 7.2未満 | 4 |
2.8以上 5.2未満 | 2 |
2.8未満 | 0 |
【平均完成工事高150億円以上600億円未満】
付与数値の合計 | 公認会計士等点数算出表 |
8.8以上 | 10 |
6.8以上 8.8未満 | 8 |
4.8以上 6.8未満 | 6 |
2.8以上 4.8未満 | 4 |
1.6以上 2.8未満 | 2 |
1.6未満 | 0 |
【平均完成工事高40億円以上150億円未満】
付与数値の合計 | 公認会計士等点数算出表 |
4.4以上 | 10 |
3.2以上 4.4未満 | 8 |
2.4以上 3.2未満 | 6 |
1.2以上 2.4未満 | 4 |
0.8以上 1.2未満 | 2 |
0.8未満 | 0 |
【平均完成工事高10億円以上40億円未満】
付与数値の合計 | 公認会計士等点数算出表 |
2.4以上 | 10 |
1.6以上 2.4未満 | 8 |
1.2以上 1.6未満 | 6 |
0.8以上 1.2未満 | 4 |
0.4以上 0.8未満 | 2 |
0.4未満 | 0 |
【平均完成工事高1億円以上10億円未満】
付与数値の合計 | 公認会計士等点数算出表 |
1.2以上 | 10 |
0.8以上 1.2未満 | 8 |
0.4以上 0.8未満 | 6 |
0.2 | 2 |
0 | 0 |
【平均完成工事高1億円未満】
付与数値の合計 | 公認会計士等点数算出表 |
0.4以上 | 10 |
0.2 | 6 |
0 | 0 |
監査の受審状況点数と公認会計士等点数を合算した点数が(W5)となります。
・研究開発の状況(W6)
加点評価項目ですが、会計監査人設置会社のみが対象となります。
会計監査人を設置していない会社は、評価対象にならない=加点されないことになります。
(W5)の場合と同じく、ただ設置しているというだけでは対象になりません。
商業登記簿謄本に登記されていることを前提として、(W5)で必要とされる書類を提出している場合に限って、(W6)でも評価対象となります。
公認会計士協会の指針等で定義された研究開発費(審査対象事業年度とその前年の2期平均)が評価対象です。
研究開発費評点算出表と照らし合わせて、評価します。
研究開発費評点算出表
平均研究開発費 | 評点 |
100億円以上 | 25 |
75億円以上 100億円未満 | 24 |
50億円以上 75億円未満 | 23 |
30億円以上 50億円未満 | 22 |
20億円以上 30億円未満 | 21 |
19億円以上 20億円未満 | 20 |
18億円以上 19億円未満 | 19 |
17億円以上 18億円未満 | 18 |
16億円以上 17億円未満 | 17 |
15億円以上 16億円未満 | 16 |
14億円以上 15億円未満 | 15 |
13億円以上 14億円未満 | 14 |
12億円以上 13億円未満 | 13 |
11億円以上 12億円未満 | 12 |
10億円以上 11億円未満 | 11 |
9億円以上 10億円未満 | 10 |
8億円以上 9億円未満 | 9 |
7億円以上 8億円未満 | 8 |
6億円以上 7億円未満 | 7 |
5億円以上 6億円未満 | 6 |
4億円以上 5億円未満 | 5 |
3億円以上 4億円未満 | 4 |
2億円以上 3億円未満 | 3 |
1億円以上 2億円未満 | 2 |
0.5億円以上 1億円未満 | 1 |
0.5億円未満 | 0 |
・建設機械の保有状況(W7)
建設機械の保有台数によって加点されます。
建設機械の保有というのは、「建設機械を自ら所有している場合」または「審査基準日から1年7ヶ月以上の使用期間が定められているリース契約を締結している場合」を指しています。
最大で15点まで加点され、保有台数0台で0点です。
以前までは、1台につき1点だったのですが、平成30年4月改正によって、点数は以下となります。
建設機械の保有状況点数表
台数 | 評点 |
0台 | 0 |
1台 | 5 |
2台 | 6 |
3台 | 7 |
4台 | 8 |
5台 | 9 |
6台 | 10 |
7台 | 11 |
8台 | 12 |
9台 | 12 |
10台 | 13 |
11台 | 13 |
12台 | 14 |
13台 | 14 |
14台 | 15 |
15台 | 15 |
また、評価対象になる建設機械は、以下の6つです。
「ショベル系掘削機(ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーン又はパイルドライバーのアタッチメントを有するもの)」
「ブルドーザー(自重3トン以上のもの)」
「トラクターショベル(バケット容量が0.4立方メートル以上のもの)」
「モーターグレーダー(自重5トン以上のもの)」
「大型ダンプ車(車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上で、事業種類として建設業を届け出ていること、表示番号の指定を受けていること)」
「移動式クレーン(吊り上げ荷重3トン以上のもの)」
・国際標準化機構が定めた規格による登録の状況(W8)
ISO9001、ISO14001に登録していれば加点されます。
但し、認証範囲に建設業が含まれていない場合、または認証範囲が一部の支店等に限られる場合は加点対象になりません。
両方とも登録している場合は、+10点。
片方のみ登録している場合は、+5点。
登録無しの場合は、0点で計算します。
・若年の技術者及び技能労働者の育成および確保の状況(W9)
審査基準日時点で、満35歳未満の若年技術者について加点評価を行う項目です。
技術職員名簿に記載された人のうち、満35歳未満の人数が、技術職員名簿に記載された全ての人数に対して、15%以上の割合を占める場合は、+1点。
技術職員名簿に記載された人のうち、満35歳未満でかつ、審査対象事業年度に新たに記載された人数が、技術職員名簿に記載された全ての人数に対して、1%以上の割合を占める場合は、+1点。
それぞれ加算されますので、最大+2点です。
どちらも要件を満たさない場合は、0点で計算されます。